プッチョピアノ

中に二人います

何事にも例外があるのよ、あなた

沖永良部島はすっごく綺麗なの。」

「クジラが産卵しにくるくらい綺麗なの!」

 

先日、ある女性と観光地の話になった際の発言であった。

私は思わず、「クジラは哺乳類だろ?」、「産卵するわけないだろ?」

そう、いいそうになった。

私だけではないはずだ。常識を有する成人であれば、十中八九そういうだろう。

事実、クジラは産卵しない。

 

だが、ちょっと考えてみた。

哺乳類でも産卵するではないか。

そう、やつだ。カモノハシ だ。

 

私は、つい、「哺乳類だから産卵するわけないだろう!」という安易な

つっこみをいれそうになった自分の軽率さをくやみながら、

「カモノハシか!」という突っ込みを入れようとした。

 

だが待てよ。

やつの、クジラの産卵発言は、ボケでもなんでもない。ガチだ。

そんなやつに対し、哺乳類でありながら産卵する例外であるカモノハシを例えて

突っ込みをいれたところで、単なる自己満足ではないだろうか。

 

私は、事故の軽率さを深く反省し、静かに言った。

「クジラは哺乳類だから、産卵しないよ。」

これでいいのだ。これが正解なのだ。

 

コミュニケーションの難しさを学びつつ、これが大人になるという

ことなのだと、そう感じた夏のある昼下がりだった。

 

沖永良部島100の素顔―もうひとつのガイドブック

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