プッチョピアノ

中に二人います

事故

今日コンビニで走り回ってる四、五歳の女の子にであった。

元気だな、と思いながらコーヒーを選びに奥へと進む。

陳列棚の前で思案する。どのコーヒーにするかは決まっているが、どれにしようか迷っている人の振りをする。

ドンッ!!

下半身に何かがぶつかった。

唐突な小さな衝撃に思わず

おうっ!!

と思いの外大きい声を出してしまう。


先ほどの女の子だ。

私のどこかが気に入らなかったのだろう。彼女はその全質量をもって言葉にならぬ思いをぶつけてきた。

私がつかの間どこが至らなかったのか反省にふけっていると、彼女はまた走り出した。

そして、こけた。ぱた。すく。にこ。

こけて立ち上がった彼女は、私に全力の笑顔を向けてきた。

恥ずかしがっての照れ笑いではなく、笑顔だった。それは純度100パーセントの笑顔だった。

彼女の笑顔のためなら、どんな理不尽な暴力を受けようとも耐えよう。

そう心に誓った。


そして、いつものコーヒを手に取り照れ笑いでレジへと向かう。